2.3 動物実験の実際
- 2.3.1 実験動物の扱い
- 2.3.2 麻酔薬の選択と採血時間
- 2.3.3 ex-vivo実験において native blood (抗凝固剤非添加血液)に添加する溶媒の選択
- 2.3.4 ex-vivo実験におけるnative bloodの希釈
※給餌の時に実験動物をなでるなどし、実験動物を慣れさせておく。また通常、採取する血液量を多く確保するために、10週齢以上の雄性ラットを用いている。
麻酔薬注入後、実験動物が十分に麻酔されている状態を確認し、採血する。実験動物が十分に麻酔されていない状態下あるいは麻酔直後では、血液は凝固しやすい状態にあり、血栓形成時間(OT)が異常に短縮する。採血時間の目安は、麻酔薬投与約30分後である。以前はネンブタールの筋注麻酔が行われたが、ネンブタール使用が不可能な場合には、採血が麻酔薬投与約30分後に行われるような麻酔薬の選択が必要である。
薬剤の抗血栓作用/血栓溶解作用のスクリーニングのため、ex-vivo実験が行われる。種々の溶媒に溶解した薬剤をnative bloodに添加し(1~10%/血液)、2~3回の転倒混和の後、native bloodをGTTチューブに注入する。有機溶媒としてメチルアルコール、エチルアルコール、DMSOなどが使用されるが、これらの溶媒は血栓形成を著しく亢進させ、GTT測定が不可能になる。そのため、試験管実験(in-vitro)と異なり、溶媒の選択には十分な配慮が必要である。
※ヒト血液にも適用。
実験動物の血液を用いる場合、変動係数、必要最小限の動物数、研究の迅速性、コストパーフォーマンスなどの理由から、生食(37℃)で2倍に希釈されたnative bloodを用いる。
※血液採取からGTTを用いた測定までの操作を速やかにすることが、安定したGTT測定を行うために重要である。
まず、37℃に温めた生食を採血用注射筒に入れておき、その中に同量の実験動物の血液を吸引、続いて約2㎖の空気を吸引し転倒混和する。全希釈血液をプラスチック容器に移し、そこから予め試料を加えた注射筒に必要な量を吸引し、転倒混和後、GTTチューブに移し、測定を開始する。